投稿日:2015年1月25日|カテゴリ:院長コラム

 はっきりとは覚えていませんけれど、今から10年以上前でしょうか、エイズの患者がアジアでは東南アジアを中心に数百万人にのぼるとニュースステーションで大騒ぎしていたのを覚えています。私はそんなはずはないと報道を無視していましたが、実際、現在はそれ程の拡大は示していません。これと同じ様に狂牛病も欧州で見つかり、日本でも大騒ぎになりました。狂牛病はヒトの脳疾患、クロイッツフェルトヤコブ病と酷似した所見を示す事から、原因は感染性蛋白質、プリオンが原因と考えられました。
 今から30年前、病理学教室に一体の解剖依頼が入りました。そうです!、クロイッツフェルトヤコブ病(CJD)と第二内科(私の古巣)で診断された患者でした。何故か運悪く、この日のハウプト(主解剖者)は私だったのです。当時、CJDの原因は全く不明で、感染経路も不明でした。医療従事者が感染したと云う報告が有った為、解剖を拒否しても良いと云う各大学の申し合わせが有った為、我々はどのように扱うか迷いましたが結果として思い切って行う事にしたのです。手袋を二重にするなど重装備をして解剖に臨みました。印象的だったのは脳がスポンジの様に変化しており、プカプカ水に浮かぶのです。驚きました。解剖後、程なくして、またまた驚くべきニュースが飛び込んできました。カリホルニア大学のプルシナーが、CJDの原因となる物質の精製に成功したと云うニュースでした。その物質がどういう訳か、蛋白質なのです。感染性蛋白質??、それまでの発想では考えられない事でした。しかし感染経路は不明だったので、解剖後妻に、30年後ぐらいに私が突然急激に認知症を発症したら、この解剖の件を医師に伝えて欲しいとも言った事を覚えています。プルシナーはノーベル賞をもらいましたし、私も今の所認知症にはなっていません。難しい事は別として、感染性蛋白質が体内に入ると普通の蛋白質を感染性に変化させ、体内で広がって行くと云う事です。良くわからなないと思いますが。さて、以前は何度もエイズの検査を受ける人、牛肉を一切食べない人など、いわゆる強迫性障害の方々でしょうが、多くおられました、しかし現在は見かける事が無くなりました。でも患者さんの恐怖感は理解できますね。私も”ひょっとしたら”と思い、エイズの検査を受けた事が有ります。・・・・・もちろん陰性でしたよ(笑)。