投稿日:2014年5月4日|カテゴリ:院長コラム

 以前、うつ病は「心の風邪」などと云う表現をした医師が居ましたが、気軽に専門医療機関を受診してもらう為に言った言葉で、簡単に治る病気であると云った意味ではありません。巷には多くのうつ病の解説本が溢れ、製薬会社が作成したうつ病のパンフレットはどの病院でも見られ、医師も指示に従って、気長に服薬を続ける様に説明しているにも関わらず、病状が回復したらすぐ来院を止めてしまう人や、初診時から、「どれぐらいで治りますか(すぐ治りますよね、と云う心)」(患者心理としては当たり前の質問ではありますが)と聞いてくる人が多いのには驚かされます。うつ病と云うのは原因が一つではなく、イロイロな原因で起こってくるものですが、単に症状でうつ病と診断されるため、皆さん一つの原因と思い込んで、種々のうつ病を単一であるかの様に誤解して、上記の様な質問が発せられるのです。ただ言えるのは、明らかなストレスによって起こされたうつ病は治りが早く、大きな気分の波がある人でうつに入ってきた人は治りにくいと言えます。どのように薬を組み合わせてもびくともしないうつ病も有り、約20~30%の患者さんは慢性化します。2~3年間うつ病と云う方も決して稀ではありません。しかし、それも止むを得ないのです、沢山あるうつ病になる要素がまだ解明されていないのです。長期化するうつ病には、免疫学的要素、一酸化窒素などの影響が推定され、更に脳のミクログリアと云う細胞の変性がうつの原因と言う研究者もいます。最近の抗うつ薬で有名なSSRIはセロトニン活性を目指したもので、一般にもセロトニンは知られる様になりました。しかし、正常人では抗セロトニン抗体がわずか、5.7%であるのに対し、うつ病者ではそれが54.1%もあり、メランコリー型のうつ病では何と82.9%と高値であったという報告が有り、それではいくらSSRIを使っても効果は有りません。抗うつ効果を有するノルアドレナリンも脳内の炎症反応(うつ病による)によって感受性が低下しており、ノルアドレナリンに反応が弱いのです。ドーパミンも抗うつ効果のある物質ですが、これの脳内伝達も阻害されている様です。それらの報告に立ち、これからはうつ病は脳内の慢性炎症疾患であると云う認識も持たねばなりません。しかし、逆の目から見ると、抗うつ薬は、抗炎症作用を持っている様で、やはり捨てたものではありません。また、アスピリン、不飽和脂肪酸、抗酸化物質も抗炎症作用が有り、うつ病には多少でも良さそうです。
 皆さん如何でしたか?、難しすぎるかもしれませんが、あまり聞かない話でしょ。