投稿日:2014年2月2日|カテゴリ:院長コラム

 防衛医大に居た頃、車通勤していましたが、正門を入る時は必ず身分を確認されて入って行きます。その時門番が敬礼をするのが気分良くて、自分が偉い人物ににでもなった様でした。ただ、私の身分は2尉、つまり旧日本軍では中尉に当たっており、防衛庁の将校であった事は確かです。さて本題に移ります。うちの教授がどう云うツテか分かりませんが自衛隊レンジャー部隊希望者の健康状態の調査をするという仕事をもってきました。レンジャーと認められると各隊のエリートとして扱われ、指導的地位に就きます。そのため手あげ方式でレンジャーに挑戦する形で、全国の普通科連隊などから応募してきます。でもその時より、数年前に実習中に死者が出ていました。
 レンジャーになるには2つの訓練が有り、1つは通常のグラウンドなどを使う訓練、でもそのメニューを見ると、私なら見ただけで「遠慮させてください」と言って元の部隊に帰ります。そして死者が出る山岳訓練は食糧を持たせず山岳地帯に放りだし、30日ぐらいしたら戻って来いというものです。日数は私の記憶なので正確ではありません。とにかくこの訓練の健康調査をすることになったのです。場所は陸上自衛隊富士学校で、富士の裾野にあります。皆さん富士学校と聞くと、門の向こうに校舎が立っている様なイメージを持ちませんか?それはとんでもない誤解です。富士学校とは”戦場に建てられた陸軍基地なのです!!”我々はそこに通い仕事をした訳です。やはり、門を通るときはイイですね、基地幹部と一緒ですから身分は尋ねられず、サット敬礼を受けるのです。まあ、そんな自己愛はいいのですが、我々が関与した部隊は死者が一人も出ずに帰還しました。皆、気持ちいい性格の好青年達でしたね。我々の仕事も最後の健康調査になりました。皆ビシッとしていますが、全身のむくみはひどく、過酷な状況を物語っていました。ところが1名だけ、体にむくみが無いのですよ、理由を聞くと「自分はアリナミンを飲んでいました」と言うのです。あれ?薬持って行ってもよかたんだけ、彼ひとりが携帯したようです。それならば、ほぼ全員が呈している浮腫みは心不全による浮腫みで、ビタミンB1不足による心不全、・・・・・つまり、脚気であったことが判明しました。でも、薬を持っていく手はありなの?、良くわかりませんね、しかしその兵士、咎められていませんでした。逆にお手柄かも。