投稿日:2013年10月27日|カテゴリ:院長コラム

 さて、さて、医師が患者さんに薬を14日分処方したとしたら、大抵の医師は患者さんが14日後前後に来院するものと予想します。28日処方したら、おおよそ、やはり28日前後にみえると考えます。つまり、それぐらいの間隔を服薬して、変化が出なければ次の治療戦略に移れないからです。ところが一部の人は医師の思惑を全く無視して、薬が無くなっているはずの日より後の1ヶ月後に来院したりするのです。ウーム、弱りましたね、前の処方の効果はわかりませんねー。ただし、また来院されると云う事は処方がそれほどあたってなかった訳でもないのかもしれません。患者さんの方は、薬を一日2回飲むところを1回にして続けていたなど、イロイロな説明をする人も多いのです。前回診断書を出したら、帰省してしまい、薬は飲まず実家でゴロゴロしていたので、薬は要らなかった、などと云う人もいます。そして、この様な人に限って、また間隔を開けすぎて来院したりするものですから、この医院を嫌っている訳でも無い様です。でもこれでは私の治療戦略は立ちませんよね。つまりこう云う事です。高血圧の人に、”ミカルディス”と云う降圧薬を30日分出したとしましょう、その患者さんは30日間はちゃんと服用したとしましょう、でも来院はそれから30日後、つまり60日後の訳です。すごろくで云うと治療は初めの振出に戻ってしまったのです。
 医療としてはまずい事なのですが、開業してみると、この様な事はやたら当たり前の事なのです。間隔を開ける人より、1~2日で来院される人の方が脅威です。薬が合わない、薬疹が出た、などの方がおられますからね。
 私が新(あたらし)城之助教授の下に居た頃、生粋の内科医時代ですね。新教授の外来に出て、外来でのやり取りを書いてカルテを作る役目、つまり、ベシュライバーと呼ばれていましたが、それをやらされた事があります。教授はただ喋っていればいいのです、全部私が書くのですから。薬は商品名ではなく、薬剤名を横文字で書くので、全部横文字で書けるようになってなければいけません。あー、それから、大学病院でジェネリックを出す事は絶対有りえない時代です。それはともかくとして、教授は言っていました。「根岸君、患者は薬をちゃんと飲んでいるなんて思ったらだめだよ、ほとんどの人はちゃんと飲んでいないのだから」。ご明察。