投稿日:2013年7月28日|カテゴリ:院長コラム

 世の中でこれほど悪く言われている薬はないのであろうか、と思うほどグラクソスミスクラインの日本名「パキシル」と云う薬が有ります。この薬はインターネット上で誹謗、中傷され、一度服用したらや止められなくなり、薬漬になってしまうと思い込まされているのです。実際の診療で「パキシルを使います」と言うと、「パキシルだけは止めて下さい」と云う反応がしばしば特に女性から返ってきます。パキシルなしで治療するならば、それはそれでいいのですが、妊娠した場合、それまで飲んでいたパキシルは止めなければならないのか、と云う質問可なり多く有ります。これに対する私の答えは「今迄通りのんでいて下さい」です。パキシルの使用説明書には止めろとも続けろとも書いてありません。つまり、判断は臨床医に丸投げです。そこで、外国で行われていた大規模臨床研究の結果を参考にしています。催奇形情報サービス共同研究ではパキシルと奇形の関連性を否定しています。他にも、アメリカ、カナダ、フィンランド、スエーデンなどの大規模試験でもパキシルの催奇形性は否定されています。それでは何も問題はないではないかと思われるかもしれませんが、少数の研究で、パキシル服用の母体から奇形児の生まれる率が一般人より少し多いという研究もあるからです。私はパキシル原因説を取らず、たまたまパキシルを服用していた人がウイルス感染症にでもかかり、奇形児がやや多く出たのではないかと考えています。
 最近読んだ文献に妊娠中にSSRI(パキシルを含む一群の薬)を服用していても死産や乳児死亡は増えないという報告がありました。北欧5ヶ国の報告で、対象出産児が何と、163万3877人も居るのです。
 さて、パキシル服用中の皆さん、パキシル服用中に妊娠してしまい、産科を訪れた際、パキシル服用を告げた時、産科医が「すぐパキシルを止めて下さい」と言ってきたとするならば、その医師は藪です。もっとまともな産婦人科を探して下さい。