投稿日:2013年4月27日|カテゴリ:院長コラム

 私が新人であった時、先輩の中に不思議な先生が居ました。S先生と云う方です。40歳代と聞きました。この先生、普段何をしているのか不明なのです。病棟で患者さんを受け持っていないので、病棟には居ません。では外来をやっているのかと云うと、その姿も見た記憶が有りません。講師、などの役職に就いていないので、大学に残って居るのが珍しいのです。つまり、よくわからない人なのです。しかし、S先生は午後4時30分になると存在感を現してきます。つまり、医局でビールを飲み始めるのです。それも一人で、箱でビールが買われてあり、冷蔵庫で冷やされていて、どうもS先生の私物と教わりました。S先生がビールを飲んでいる時は医局には誰も居ません。どうやらからまれるらしいのです。ある時、医局に用事があり、4時30分過ぎに医局に入りました。やはり、S先生は薄暗い医局のなかで、一人手酌でビールを飲まれていました。私は目線を合わさずこそこそしていたところ、S先生は「おい、根岸、お前は医者の顔をしていない。」と言ったのです。はて、何んでかな?と思いめぐらしたところ、最近病棟で患者さんが亡くなり、私も駆けつけて救急蘇生を手伝った時の事が、思い出されました。そうだ、その時何故かS先生も稀な事ですがその場に居たのです。結局、前述のとおり、患者さんは亡くなってしまったのですが、私が家族の方々に悲しげな表情をしたのです。S先生はその私の表情について指導したのだと思いました。私が、より、ポーカーフェイスになったのはその先生のさとしもあったのです。
 その後、S先生は医局旅行で酔って、「おい!根岸!」と怒鳴りながら、私のお尻を2度も蹴りました。体罰でしょうが、勉強になりました。感謝しております。